東京動物園ボランティアーズ

こんにちは! 私たちは都立の恩賜上野動物園、多摩動物公園、井の頭自然文化園で活動しているボランティア組織です。

動物園日和

《上野動物園DGゾウグループ》

  • 毎週火曜日 13:30~14:30
  • アジアゾウ放飼場前

アジアゾウ

上野動物園のアジアゾウ放飼場は東園のほぼ中央にあります。ゾウを間近に見た来園者の方はその圧倒的な大きさに驚き、見入っていらっしゃいます。

ゾウグループ

私たちはゾウの牙や歯、爪、皮膚などの標本を机に並べ、ゾウの特徴をご紹介しています。標本は大事なものですが、直に手に触れることでより深く興味を持っていただけると思います。ゾウの足や耳の大きさを実感できる模型も用意してありますし、乾燥させてコーティングした糞などを使って、餌と消化などについてもお話しています。

ゾウグループ

また、放飼場でゾウの調教中はハンドマイクも使って個性豊かなゾウたちを紹介し、その仕草などをご案内します。

アジアゾウ

飼育員の方は放飼場内の糞の掃除を終えると、青草を与え、日常的にゾウたちとコミュニケーションをとる場面を来園者の方に見ていただきます。これは削蹄など足の手入れをしたり、直接触れることでゾウの健康状態を確かめたりするためで、ゾウと飼育員の双方にとって安全安心のための調教であることを私たちはアナウンスします。

ゾウグループ

人気があるのは、アジアゾウの鼻先から型をとった特製スタンプ(高さ・幅約11センチ)です。来園者ご自身に押していただき、日付を加えてお渡しします。鼻先の形がアフリカゾウとは異なることをお話すると、皆さん驚きます。スタンプを大事そうに受け取る親子や大喜びする海外からの来園者の方など和やかなひとときがうまれます。

ゾウグループ

少し時間をかけてご覧になっていらっしゃる方にお声をかけることもあります。ゾウの姿を一緒に見ながら足の形、大きさ、蹄の数や歩き方、また顔を上げて鼻を伸ばして木の葉を採ろうとする仕草などについてお話しします。動物園での姿から森の中のゾウたちの姿へ思いが拡がるようにと心掛けています。

ゾウグループ

私たちは出来るだけ多くの方々が動物園に何回も訪れ、「ゾウ好き、生き物好き」の仲間が増えることを強く願いながら活動しています。ゾウも大好きですが、人間も大好きなのです。私たちを見かけたら気軽に声をおかけください。

アジアゾウ

(ゾウグループ 爲光 弘和)

《上野動物園DGカバグループ》

  • 毎週金曜日 14:00~15:00
  • 西園 カバ、コビトカバ舎前

夏を思わせる強い日差しでも、木立に囲まれたカバ舎には心地よい風が吹き抜けます。ジロー(オス、1983年6月17日生まれ)は今日も元気一杯、ガバーッと大きな口を開けたり、水中で回転してお腹を見せたり、ダイナミックに動いていました。お客さんが歓声をあげるたび、ジローの動きも大きくなるようでした。

夜行性のカバは野生でも、昼間は水中に潜っています。「なあんだ、寝ている」と通り過ぎる人が少なくありません。2分から5分で呼吸のため水面に鼻を出しますが,待ちきれない人もいます。

そんなお客さんにカバの体の特徴や生態を説明するため、私たちは様々な小道具を用意しています。

なかでもカバの頭骨標本は迫力満点です。重さ25キロ。「これ本物ですか?」とよく聞かれますが、上野で1956年に生まれ、1972年に死んだ「マルコ」の頭骨です。目の不自由な方が手でやさしくなでて鼻や歯を確かめていただくことも。本物の骨だからこそ、カバの大きさや素晴らしさを感じてもらえると思います。

ジローの実物大の顔写真と、大きな口を150度も開けた「大口」の写真の組み合わせは、ボランティア仲間のYさんが撮影し、制作した傑作です。巨大な口に思わず尻込みする子もいれば、並んで記念写真に収まる親子も少なくありません。

カバの顔の大きなジグソーパズルも手作りです。目と鼻と耳が一直線に並んでいて、呼吸をするため水面に浮上すると目も耳も使えるカバの特徴を7ピースのパズルで遊びながら知っていただきます。小さな子があっという間に完成させるかと思えば、中学生や大人が意外にてこずることもあるから不思議です。

カバ舎にはメスのユイ(2011年7月24日生まれ)もいます。愛媛県立とべ動物園生まれ、ジローのお嫁さん候補として2015年6月に来園。屋外プールにはジローと交代で登場しますが、室内プールでは、隣のジローと鳴き交わすこともあって、人気も急上昇。足繁く通っている「ファン」やカメラマンもいるとか。

「カバの子どもかな?」と間違われるのがコビトカバです。カバ舎を挟んで左右に、コビトカバのプールと運動場が並んでいます。まったく別の種類で、体重3000キロにもなるカバに比べ、コビトカバは200キロ〜250キロと小さく、カバが昼間は水中にいるのに、コビトカバは熱帯雨林で過ごします。小型とはいえ,口を開けると堂々たる迫力です。

コビトカバは絶滅危惧種に指定され、ジャイアントパンダやオカピと並んで「世界三大珍獣」と呼ばれることも。上野にはショウヘイ(1990年11月19日生まれ)、エボニー(1989年12月1日生まれ)など4頭が暮らしています。

《井の頭自然文化園DGいきもの広場》

  • 4月~10月 毎週日曜日 11:00~12:00
  • 11月~3月 第2日曜日  11:00~12:00
  • 動物園(本園) いきもの広場前に集合

動物園のなかに作られた「近所の自然」が、「いきもの広場」です。面積1,300平方メートルほど。雑木林に池や草原,石組みがあって、生きものを呼び寄せる工夫があちこちに。開園前に行列ができ、毎週のように通うリピーターもいます。

「クスノキの葉にアオスジアゲハの卵があります」

園の担当者の解説を聞いて準備が整ったところで、私たちはそれぞれ配置につきます。開園と同時に、子どもたちが一斉に、お目当ての生きものを探し始めます。

「何これ、 生きているの?」。男の子の手のひらに白いふわふわの固まり。長さ約2センチ。綿毛のようですが、もぞもぞ動きます。よく見ると顔があって、目と口が見えます。担当者が教えてくれました。「クルミマルハバチ」の幼虫です。顔がかわいいでしょ(写真=井の頭自然文化園撮影)。

地面に敷かれた縦、横約60センチの板「観察ボード」を開けると、アリの巣やモグラのトンネルが見付かることも。サッと逃げた動物を男の子が素早く捕まえました。「やったあ!トカゲ。あれ、死んだ振りしている」。パパが記念写真を撮っても、鮮やかな色のトカゲは逃げ出そうとしません。

原っぱの草も随分伸びました。草の間から飛び出した若草色は、ショウリョウバッタ。子どもたちが追いかけます。この間は、ナナフシを見つけた子どもがいました。子どもの観察力に感心します。

落ち葉を積んだ腐葉土を黙々と掘る親子もいます。「おかしいな。いるはずなのに」。こぼしたパパの手が止まり、拾い上げたのはカブトムシの幼虫。それにしても、カブトムシの人気は相変わらずです。恐る恐る触る子もいますが、3,4匹を手に載せて満足そうな子も。子どもより熱心な親もいて、夢中に掘り続けるママも珍しくありません。

あれ、クロアゲハだ。トンボが池の周りを飛んでいます。池ではトンボのヤゴやアメンボが観察できます。自然は不思議なもので、毎年、様々な変化が見られます。今年はどうもアメンボが少ない感じです。

いきもの広場は2010年から整備が始まり、2012年4月に一般公開されました。これまで観察できた生き物は約260種。季節の変化はありますが、常時60種程度は観察できます。この日は親子連れなど150人近くが参加しました。生物多様性というのは、様々な生きものたちのにぎわいのことだとか。それが宝物だと子どもたちに実感してもらいたい。いきもの広場で目を輝かせている子どもを見ながら、そう願っています。

(井の頭DGリーダー 林武志)


《多摩動物公園DGサバンナグループ》

  • 毎週日曜・祝日 10:30〜12:00、13:00〜15:00 サバンナ外周の路上でガイド

サバンナ1

多摩動物公園で人気のアフリカ園の、アフリカに住む草食動物や鳥類を中心に展示している大きな放飼場…サバンナ…が、私たち多摩サバンナグループの活動エリアです。

面積6,500平方メートルと広いエリアには、キリン、グレビーシマウマ、シロオリックス、ダチョウ、モモイロペリカンといった動物たちが一緒に展示されています。ほかの動物園でもあまり見られない展示だけに、来園者の方から「喧嘩(けんか)はしませんか?」といった質問を受けることもしばしばです。

サバンナ2

これだけ多様な動物たちをガイドするため、私たちはキリンのしっぽやシマウマの毛皮、シロオリックスの角、ダチョウの卵、ペリカンの羽などの標本を使って動物たちをご紹介しています。

活動に参加しているメンバーの楽しみは、来園者の疑問を、一緒に動物たちを観察しながら解決していくことです。

サバンナ2

「キリンの舌は何色だろう?」「シマウマの地肌の色はどんな色?」「ダチョウはどんな風に鳴くの?」といった疑問について、来園者と一緒に考え、観察して答えを導けるように心がけています。

答えを自分で"発見"したときの来園者の笑顔が、何よりのやりがいです。

サバンナ4

もちろん、観察だけでは分からない情報も標本や長年かけて諸先輩の皆さんが蓄積してきた資料をベースに解説して、動物への理解や動物園の役割を知ってもらえるよう努力しています。

例えばキリンのしっぽのさわり心地や、シロオリックスの角の重さは、標本を使ったガイドだからこそ、感じていただけるものだと思います。

サバンナ5

動物をよく見る事で、傍目(はため)からは皆同じように見えるキリン1頭1頭の個性を発見したり、生まれた時期の異なるシロオリックスの角の成長具合を確認したり、シマウマがいななくタイミングをはかったり。資料を読み込むだけではわからない情報を知ることもできるのです。

サバンナ6

活動グループのメンバー曰く。「動物と動物園の話をするときは、みんな、小学生に戻ってしまうね」というサバンナグループなのです。

多摩動物公園アフリカ園・サバンナエリアで、皆さんをお待ちしています!

(サバンナグループ 太田晃)


《多摩動物公園DG裏側ガイドツアー》

  • 毎月第4日曜 12時15分から アフリカ園旧類人猿舎前集合

多摩動物公園のアフリカ園の奥にある旧類人猿舎は、かつてゴリラやチンパンジーが暮らしていましたが、ゴリラは上野動物園に、チンパンジーも新しい施設に移動してしまい、今は動物のいない施設です。

逆に、動物がいないからこそ中に入ることも出来るということで、月に一度、普通は入れない飼育施設に入ってもらい、動物の暮らしを体感していただくガイドツアーを行っています。

ゴリラの寝部屋では、当時食べていた食材の写真を使い動物園での食事の今昔の話や40年以上前に建てられたのに床暖房が完備されていることなどを知っていただき、ゴリラの歩き方の説明の後で、実際にゴリラが使っていたシュート(通路)を屈んで通り抜けてもらいます。

チンパンジーの寝部屋は、一頭ごとの個室が並んでいます。そこでの日々の生活や飼育員との鉄格子越しのコミュニケーションや、病室・産室は二重扉になっていることなどをお話しして、飼育係になった気分で、シュートの扉を実際に開閉してもらうこともあります。

最後に、多摩動物公園の特徴である無柵放養式の運動場に出ていただきます。

ここには、人工アリ塚や鏡などが設置されていて、当時のエンリッチメント設備が今の施設にも生かされていることなどが分かります。

何よりチンパンジーたちが見ていた風景を味わえるのです。堀の向こうにじっと見つめる家族連れやお客さんたち。空き家だったはずの旧類人猿舎に現れた「人間」の姿に驚いたり笑ったり。様々な反応を楽しむことができます。

実は、このガイドツアーを行っている時、運動場の外には展示動物『ヒト』の看板をつけています。展示動物になることも体験できるツアーなのです。動物園なのに動物に会えない場所ですが、普段は味わえない裏側をあなたもぜひ探検してみてください。


《井の頭自然文化園DG》

  • まっかちんに挑戦! 第2・4土曜 11:00~12:00 第5日曜 13:30~14:30 水生物館前
  • ボトルウォッチング 第2・3日曜 13:30~14:30 水生物館前
  • ミズグモガイド 第2・4土曜 11:00~12:00 第2・3・5日曜 13:30~14:30 水生物館ミズグモ水槽前

まっかちん

「マッカチン」という言葉をご存知ですか?

広辞苑や日本国語大辞典には載っていませんが、アメリカザリガニのことです。もともと多摩方言で「赤い大きなもの」という意味のようです。ネットで「多摩弁」「アメリカザリガニ」を検索すれば出てきます。人気漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」第85巻ではマッカチンが「下町でのザリガニの愛称」と紹介されています。作者の秋本治さんは東京・葛飾出身だとか。埼玉県坂戸市が舞台の「ざりがにのおうさままっかちん」(大友康夫、福音館書店、1991年)という児童書もあります。図書館で調べたら米川明彦編「日本俗語大辞典」(東京堂出版、2003年)に、アメリカザリガニのことと用例も載っていました。

井の頭のスポットガイド「まっかちんに挑戦!」は、ザリガニに触われると子どもたちだけでなく大人にも人気があります。

ザリガニは飼育担当の方が用意してくれます。水生物館前の広場のたらいに、ひとつには大振りのオス、もうひとつに体長4、5センチのメスや子どもたちが入っています。大きなハサミを振りかざすザリガニに尻込みするお子さんに、ボランティアのメンバーが「こうやって背中を捕まえるんだ」と教えます。おっかなびっくりの男の子もいれば、平気でわしづかみにする女の子もいて、大人たちは呆れたり笑ったり。

まっかちん

水生物館前では、ボトルウォッチングも行います。高さ20センチ、直径7センチほどの透明なボトルに、イトミミズやミジンコ、カワニナなどが入っていて、来園者はボトルを手に取って観察できます。小さな魚もいます。ウキゴリ、ドジョウ、メダカ、モツゴなど。ボトルを手に「これがオオクチバスだよ。北米原産の外来種でね。井の頭池にいる在来種の小魚やトンボのヤゴを食べてしまう」などと解説も忘れません。日によって種類や数は少し変わりますが、スジエビやサワガニ、ヤモリ、アカハライモリなどもいて、井の頭自然文化園の飼育動物の一部を、この取組みの時だけボトルに移し、使わせてもらっているのです。

水生物館の館内では、水の中に住むクモ「ミズグモ」の不思議な生活スタイルを、ルーペで観察するミズグモガイドも。様々な特別展が開かれることもあって、なかなか盛りだくさん。子どもたちが、命の大切さを感じることに少しでも役立ってくれれば、というのが私たちの願いです。

(井の頭DGリーダー 林武志)

ボトルウォッチング


《上野動物園DGニホンザルグループ》 飼育担当の画期的な研究に協力

サル山

上野動物園のサル山には体重計があります。でも、サルの体重測定は、かなりの忍耐とちょっとした技術(コツ)が要求されます。気ままなサルがいつ体重計に載ってくれるか分かりませんし、運良く載ったとして、サル山の住人37頭全部を個体識別していなければ、いったい誰の体重なのか分からず、記録もできないのです。

サルの体重計

東京ズーネットの2015年12月18日付けニュース(新しいウインドウで開きます)にも出ましたが、上野動物園飼育展示課のニホンザル担当、青木孝平さんは、サルに与えるエサの量を季節変化させることで、サルの体重がどう変るかという画期的な研究をして、その成果は権威ある英文学術誌「Zoo Biology」に掲載され、注目を集めました。

実は、この研究に私たちDGニホンザルグループのメンバーも協力し、論文の「共著者」として名を連ねています。 

サルとエサ

動物園で与えるエサは、季節変化も少なく、多めに与えるため動物は太りやすいといわれます。青木さんは、エサの量を変化させることで、サルの体重は野生と同じく季節変化するのでないかと考えたのです。

まず、毎日4、5回に分けて与えるエサのすべて、葉や枝、牧草類、お米、ヒマワリの種、小麦、柑橘類などの栄養価を細かく調べた結果、群れ全体へのエサの総栄養価は年平均で一日あたり約24,000キロカロリーと分かったそうです。

サルとエサ

青木さんは、自然状態を再現するため、春と秋は「栄養価を高く」して夏と冬は「低く」します。具体的には春を約32,000キロカロリーとし、秋は約40,000キロカロリーに増やしました。さらに夏は約22,000キロカロリーまで減らし、冬は約20,000キロカロリーに落としました。

その効果を検証するため、2011年4月から2014年3月までの3年間、のべ3,263頭の体重を調べました。そのざっと半分がニホンザルグループの採ったデータだったのです。

ニホンザルグループは、個体識別のカギとなる雌雄の体つきの違いや年齢差、毛や顔の色、顔や四肢のキズあとなど特徴を先輩から教わり、ベテランはやはり人間と同じく顔を見て識別しながら、毎週木曜のスポットガイド(午後1:30〜2:30)の前後などにサルの体重を記録してきました。

青木さんは、「エサの栄養価を操作することで、飼育ニホンザルも野生と同様に春と秋は体重が重くなり、冬は低くなるようにできた」と言います。その一方で、「野生と違い、飼育ニホンザルの体重は春から夏にかけて落ちない。暑い夏は日陰などを利用して行動範囲が限られ、過剰なエネルギー消費が減るためとみられる」といい、「飼育下での体重の季節変化には、給餌量だけでなく、給餌方法を工夫してサルの運動量を増やす努力も必要だ」と指摘します。

青木さんは「ボランティアと協力することで、より良い飼育環境への手がかりが得られた」と言います。ニホンザルグループリーダーの永井和美さんは「学術研究のお手伝いができてこんなに嬉しいことはありません。これからも飼育の皆さんと一緒にニホンザルの魅力をお客様にお伝えしていきたい」と話してくれました。

サルとエサ

上野のサル山のサルたちの故郷は青森県・下北半島、世界のサル生息域として「最北限」で、国の天然記念物にも指定されています。極寒の地に生きるニホンザルのたくましさが受け継がれているに違いありません。

(ニホンザルグループ 清水弟)


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